はじめに
事業収入がある人の書類です
帰化申請書類の「事業の概要」は、事業収入のある人が作成しなければいけない書類です。
正式には、「事業の概要を記載した書面」と言います。
事業収入がある人とは、例えば、会社経営者や、会社役員、個人事業主のことをいいます。
つまり、給与収入ではなく事業収入がある人のことです。
帰化申請をする本人だけでなく、その配偶者や、同居の家族が会社を経営していたり、個人事業を行っている場合は、必ず作成しなければなりません。
この記事では、「事業の概要」を自分で作成する場合の書き方や、注意点を徹底解説しています。
随時更新しています
この記事は、随時更新しています。
基本的に、事業の概要の書き方が頻繁に変わることはありませんが、法務局の職員や、行政書士さんから直接聞いた話をもとに、この記事も随時アップデートしています。
事業の概要について、既に知っている人も、ぜひこの記事で最新情報を確認してください。
事業の概要の注意点
事業の概要の作成は、簡単です。
帰化申請の必要書類の中でも、事業の概要は、基本的には会社や個人が既に行っている事業の内容をそのまま書き写すだけでよいので、難しい内容はありません。
でも、書類そのものよりも、会社や個人事業の「中身」をしっかりチェックされる、という点に注意が必要です。
例えば、書類の書き方が完璧でも、その会社の決算が赤字なら、ほぼ確実に不許可になってしまいます。
また、書類の書き方が完璧でも、その会社が納税をしていなかったり、厚生年金に入っていないなど、必要な義務を果たしていないと、やはりほぼ確実に不許可になります。
実際、法務局の職員さんや、行政書士さんのお話でも、そこをチェックしていると明言していました。
具体的に、どのような点を注意すべきか、この記事の後半で詳しく解説しています。
事業の概要とは
事業の概要の基本
帰化申請の必要書類の一つである「事業の概要」は、正式には「事業の概要を記載した書面」といいます。
申請者本人や、配偶者、申請者と同居する家族の中に、会社経営者や会社役員、個人事業主がいる場合、必要となる書類です。
逆に、申請者本人や、配偶者、申請者と同居する家族が、給与収入のみの場合や、アルバイト、無職の場合は、事業の概要は必要ありません。
事業収入がある人は、帰化申請書類のひとつ「生計の概要(その1)」という書類の「種目」に、「事業収入」と書くはずなので、事業の概要が必要かどうかを判断できます。
ちなみに、事業の概要は、一つの事業ごとに書類を作成しなければなりません。
例えば、二つの会社を経営している場合、それぞれの会社ごとに分けて作成します。(つまり、事業の概要が2枚になります)
作成前の準備
事前準備として、事業の概要のWordファイルをダウンロードしておくと便利です。
事業の概要は、手書きでも、パソコンでも、どちらで作成してもOKですが、あとで修正をするときや、次の決算期分を作成するときなど、Wordで作成しておくと元のデータが残るので便利です。
手書きで作成するための、空欄のPDFも、法務局のホームページからダウンロードできます。
また、事業の概要は、法人の登記事項証明書や、直近の決算書からそのまま転記すれば簡単に作成できるので、事前に、登記事項証明書や決算書を手元に用意しておくことをおすすめします。
事業の概要の書き方
1. 対象となる期間
「対象となる期間」には、直近の事業年度を記入します。
年号は、西暦ではなく和暦で記入します。
会社経営者や役員の場合は、その会社の決算期や事業年度に合わせます。
例えば、4月1日から翌年3月31日までの1年間を事業年度としている場合、「令和○年4月~令和○年3月」のように書きます。
例:3月決算の場合
令和6年4月~令和7年3月
例:12月決算の場合
令和6年1月~令和6年12月
個人事業主の場合は、1月から12月までの1年間が事業年度となるため、直近(前年)の年月を記入します。
例:令和6年1月~令和6年12月
2. 商号等
「商号等」には、会社の場合、会社名を記入します。
会社名は、法人の登記事項証明書と同じになります。
例:株式会社○○
例:(株)○○
個人事業主の場合は、個人名を書きます。
個人事業主で、屋号を使っている場合は、屋号を記入します。
3. 所在
「所在」には、会社の場合、本社所在地を記入します。
会社経営者や役員の場合、法人の登記事項証明書の「本店」をそのまま転記すればOKです。
個人事業主の場合は、個人事業主として届出をした住所(自宅など)になります。
会社の場合も、個人の場合も、住所を1-2-3のように省略せず、1丁目2番3号のように記入します。
例:東京都渋谷区渋谷1丁目2番3号 ○○ビル4階
4. 開業年月日
「開業年月日」には、会社を設立した日、または、個人事業の開業をした日を記入します。
会社の場合、法人の登記事項証明書の「会社成立の年月日」を転記します。
個人事業主の場合、開業届の通りに記入します。
ここでも、西暦ではなく和暦を使います。
例:平成○年○月○日
5. 経営者
「経営者」には、会社経営者や役員、個人事業主の名前を記入します。
例:帰化 太郎
「申請者との関係」には、申請者との関係を書きます。
申請者本人が経営している場合は、「本人」と書きます。
申請者の配偶者や、同居する家族が経営している場合、夫や父、長男など、関係性に合わせて書いてください。
例:夫
6. 営業の内容
「営業の内容」には、実際にその会社や、個人事業を行っている事業内容を記入します。
会社の場合、法人の登記事項証明書の「目的」をそのまま転記するか、その中から、代表的な事業を2~3個ほど転記すればOKです。
個人事業の場合は、実際の事業に合わせて記入します。
例:飲食店の経営
7. 許認可の年月日番号等
「許認可の年月日番号等」には、許認可が必要な事業を行っている場合、その許認可を得た年月日、許認可番号を記入します。
許認可が必要ない場合は、空欄のままでOKです。
8. 確認欄
「確認欄」には、なにも記入しません。
空欄のままでOKです。
9. 営業資本
「営業資本」には、法人の登記事項証明書の「資本金の額」を転記します。
例:300万円
個人事業主の場合、会社のような資本金が必要ないため、「0」と記入します。
10. 従業員数
「従業員数」には、従業員の人数を記入します。
従業員の人数には、会社経営者は含みません。
例えば、社長一人で事業を行っている一人会社の場合、従業員は「0」となります。
また、従業員の人数には、正社員だけでなく、パートやアルバイトも含めます。
「専従者」とは、従業員として雇用している家族のことです。(家族従業員)
従業員の中に家族がいる場合、「内専従者」にその人数を記入します。
例:従業員が3人いて、そのうち1人が家族の場合
従業員数3名(内専従者1名)
11. 事業用財産
「事業用財産」には、事業用財産を所有している場合に、その名称、種類、数を記入します。
名称を書くだけでなく、種類や数も書くという点に注意してください。
例:店舗(木造2階建)
例:軽自動車 1台
特にない場合は、「現状登録なし」と記入します。
例:現状登録なし
12. 売上高
「売上高」には、決算書類や確定申告書類を参考に、売上高を転記します。
1万円以下は切り捨てで書きます。
例:100万円
13. 売上原価
「売上原価」には、決算書類や確定申告書類を参考に、売上原価を転記します。
1万円以下は切り捨てで書きます。
14. 販売費等
「販売費等」には、決算書類や確定申告書類を参考に、販売費等を転記します。
1万円以下は切り捨てで書きます。
15. 営業外収益
「営業外収益」には、決算書類や確定申告書類を参考に、営業外収益を転記します。
1万円以下は切り捨てで書きます。
特にない場合は、空欄のままでOKです。
16. 営業外費用
「営業外費用」には、決算書類や確定申告書類を参考に、営業外費用を転記します。
1万円以下は切り捨てで書きます。
特にない場合は、空欄のままでOKです。
17. 特別利益
「特別利益」には、決算書類や確定申告書類を参考に、特別利益を転記します。
1万円以下は切り捨てで書きます。
特にない場合は、空欄のままでOKです。
18. 特別損失
「特別損失」には、決算書類や確定申告書類を参考に、特別損失を転記します。
1万円以下は切り捨てで書きます。
特にない場合は、空欄のままでOKです。
19. 利益
「利益」には、決算書類や確定申告書類を参考に、純利益を転記します。
1万円以下は切り捨てで書きます。
「利益率」は、利益÷売上高×100で計算できます。
例:7%
20. 借入年月
「借入年月」には、金融機関や個人からの借入がある場合に、その借入を行った年月を記入します。
西暦ではなく和暦を使います。
例:令和○年○月
21. 借入先
「借入先」には、借入を行った金融機関名や個人名を記入します。
例:○○銀行
22. 借入額(万円)
「借入額」には、借入を行った当初の金額を記入します。
単位は、万円で書きます。
例:100
借入がない場合は、空欄のままでOKです。
23. 期末残高(万円)
「期末残高」には、現時点での借入残高を記入します。
単位は、万円で書きます。
例:50
24. 返済の方法
「返済の方法」には、返済方法と返済額を記入します。
例:毎月10万円ずつ定額で返済している場合
毎月10万円
任意のタイミングで返済している場合は、「随意」と書きます。
25. 借入の理由及び返済状況
「借入の理由及び返済状況」には、借入の理由と、現在の返済状況を簡単に記入します。
例:開業資金のために借り入れ、遅滞なく返済している。
例:事業拡大のために借り入れ、遅滞なく返済している。
例:○○の設備投資のために借り入れ、遅滞なく返済している。
26. 名称又は代表者
「名称又は代表者」には、取引先の名称を記入します。
会社の場合は会社名を、個人の場合は個人名を、取引金額が大きい順に書きます。
取引先を全て記入する必要はなく、主要なところだけでOKです。
例:(株)○○
27. 所在
「所在」には、取引先の住所を記入します。
28. 電話番号
「電話番号」には、取引先の電話番号を記入します。
29. 年間取引額(万円)
「年間取引額」には、実際の取引をもとに、年間の取引額をを記入します。
単位は、万円で書きます。
例:100
30. 取引の内容
「取引の内容」には、実際に行っている仕入れや販売などの内容を記入します。
例:○○の仕入れ
例:○○の販売
例:建設工事
31. 取引期間
「取引期間」には、その取引先とのおおよその取引期間を記入します。
例:開業時から
例:5年
32. 備考
「備考」には、取引銀行名と支店名を記入します。
例:取引銀行 ○○銀行 ○○支店
事業の概要作成の注意点
会社や個人事業の「中身」に注意
帰化申請の「事業の概要」は、会社や個人が既に行っている事業の内容を書くものなので、特に難しいものではありません。
決算書などを参考にしながら、転記していくだけで完成します。
でも、事業の概要が必要になる場合、つまり、申請者やその家族が会社経営者や役員、個人事業主の場合、事業の概要そのものよりも、会社や個人事業の「中身」が見られる(審査される)という点に注意してください。
分かりやすい例を出すとすれば、会社が赤字決算の場合、帰化申請が不許可になる可能性が高いと言えます。
ほかにも、会社が必ず加入しなければならない厚生年金が未加入の場合や、未納がある場合、また、法人税などの税金の未納がある場合も、不許可の可能性が高まります。
これらの内容は、直近の事業年度を含めて3期分は見られるため、書類だけでなく事業の中身が肝心と言えるんですね。
但し、赤字決算や、厚生年金の未加入、税金の未納などがあると、絶対に帰化申請が許可されないというわけではありません。
基本的に、直近から3期分を見られるため、例えば、赤字の事業を黒字化して、最低でも3期は黒字を続けることができれば、許可される可能性が出てきます。
また、厚生年金に加入したり、税金を収めるなどして、やはり最低でも3期分は改善しなければなりませんが、その後の許可の可能性は高まります。
添付書類を集めるときの注意点
帰化申請をする本人や、配偶者、同居の家族の中に、会社経営者や役員、個人事業主がいる場合、帰化申請の添付書類が増えます。
決算書類や納税証明など、添付しなければならない書類の種類、枚数が増えるからなんですね。
そして、そんな添付書類を集めるときに注意しなければいけないのが、必要書類を間違えないように、確実に集めるということ。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、必要書類が足りないと、法務局で受理してもらえないので、税務署、年金事務所、法務局、区役所など、どこで、どんな書類を交付してもらえばよいか、間違えないように注意してください。
このサイトでも、添付書類の解説や、取り方を解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
申請後の決算も要注意
帰化申請の「事業の概要」は、書類の書き方よりも、事業の中身が大切、と言いました。
それが、事実です。
実際、法務局の職員も、帰化に詳しい行政書士さんも、赤字決算があるとほぼ不許可になると教えてくれました。
でも、過去だけに気を付けるのではなく、未来の決算にも注意してください。
普通、帰化申請は、受理(受付)されてから、審査期間として1年前後は時間がかかります。
当然、その審査期間中に、次の決算期が訪れるんですね。
申請のときに、過去3期分が黒字だったとしても、審査期間中の決算が赤字となってしまうと、やはり不許可になってしまう可能性があります。
このように、会社経営者や役員、個人事業主の場合は、申請後の決算も要注意、という点を忘れないでください。
自分で書いてみた感想
自分で作成するのは簡単だった
帰化申請書類の中でも、事業の概要は、簡単でした。
この記事の前半でもお話したように、事業の概要は、会社の決算書類や、個人事業主の確定申告書類を見ながら転記していけば完全するので、それほど難しいものではありません。
それよりも、決算が赤字になっていないか、年金の未加入がないか、税金の未納がないか、など、会社や個人事業主の中身(実態)が要件を満たしているかどうか、という点が肝心だと思いました。
但し、それと同時に、もしも要件を満たしていない部分があっても、それを満たすように改善すれば、許可の見込みは出てきます。
赤字会社でも、黒字化して3期分続けることができれば、必ず不許可になるとは限りません。
大切なのは、今からでも要件を満たすこと。
その状態を、帰化許可されるまで続けること。
それが大切なポイントだと感じました。
Wordで苦労したポイント
帰化申請の事業の概要を自分で書いてみて、手書きよりも、Wordで作成するほうが便利だと思いました。
あとで修正をするのも簡単ですし、申請書類の控えとしても役立ちます。
但し、あらかじめ決められた枠の中に、文字数が収まらないことがあったので、若干、そこだけは苦労しましたね。
例えば、事業の概要でいうと、「取引先」の住所を書く欄が小さくて、住所が収まらなくて困りました。
結局、文字サイズと、行間オプションを調整して、枠に収まるように記入することができました。
ほんの些細なことですが、Wordに慣れていない人は、やや苦労することがあるかもしれません。
書類集めが大変だった
帰化申請の事業の概要は、書類の書き方よりも、添付書類集めが大変でした。
例えば、東京都の会社経営者の場合、区役所、都税事務所、税務署、年金事務所、法務局など、それぞれの場所で異なる書類を交付してもらわなければなりません。
窓口で直接交付されるものもあれば、後日郵送されるものもあります。
また、それぞれに手数料もかかります。
申請者やその家族が、会社経営者や役員、個人事業主の場合、これらの添付書類の把握や、書類集めを早めに検討することをおすすめします。
まとめ
書き方のポイント
帰化申請の事業の概要は、会社の決算書類や、個人事業主の確定申告書類などを参考にすれば、転記していくだけで完成します。
帰化申請書類の中でも、簡単に書ける書類のひとつです。
但し、申請者やその配偶者、同居の家族が、会社経営者や役員、個人事業主の場合、添付書類の種類が増えるので、書類集めがやや難しく感じるかもしれません。
このサイトでも、それぞれの書類の集め方を解説していくので、ぜひ参考にしてください。
注意点をおさらい
申請者やその配偶者、同居の家族が、会社経営者や役員、個人事業主の場合、申請前だけでなく、申請後も赤字決算をしないように注意してください。
帰化申請の審査は、受理(受付)されてから約1年はかかるので、直近3年が黒字でも、審査期間中に赤字決算を出してしまうと不許可の可能性が高まります。
帰化要件の中でも、会社の決算や個人事業主の確定申告は、とても大きな要素なので、書類作成よりも事業そのものに注意してください。
感想をお寄せください
あなたの感想をお寄せください。
実際、事業の概要を作った人も、これから作る人も、あなたの感想はとても貴重な情報です。
法務局職員や、行政書士さんによっても、認識やアドバイスが異なることもあります。
この記事をさらにアップデートして、あなたに価値をお返しするためにも、ぜひたった一言でいいので感想をお送りください。
お待ちしています。
